藺牟田池の詳細

絶滅の危機に瀕したベッコウトンボが生息する火口湖

湿地のタイプ:淡水湖、低層湿原
所在地:鹿児島県 薩摩川内市 ⇒ 藺牟田池の場所
登録年月日:2005年(平成17)11月8日
面積:60ha
湿地の特徴:ベッコウトンボ生息地
保護の形態:藺牟田池ベッコウトンボ生息地保護区管理地区

藺牟田池の概要

藺牟田池は、鹿児島市の北西25km、薩摩川内市(さつませんだいし)を流れる川内川の上流部の山中にある面積60ヘクタールの湖。飯盛山の噴火でできた火口部に水がたまってできた、火口湖である。
水面部の標高は296m。周囲を標高400 ~ 500mの火山群に囲まれ、山頂部の湖側、つまり火口壁の内側は、急な崖状になっている。流入河川はなく、流出河川は1本だけ東側から流れ出している。
藺牟田池は、周囲4kmのほぼ丸い形をした小さな湖である。湖の北西部には泥炭層が堆積し、低層湿原になっている。比較的温暖な気候のこの地域で、長い年月をかけて泥炭層が形成され、また珍しい泥炭質の浮島が多く見られることから、国の天然記念物にも指定されている。

藺牟田池 | ラムサール条約湿地

水深の浅い静かな環境

最大水深2.7m、平均水深0.8mの浅い湖で、周囲に人家もわずか数戸しかなく、静かな環境にある。湿原にはヨシやマコモが繁茂、水面にはジュンサイやヒツジグサなどの多くの水生植物が生育する。カルガモカイツブリなどの水鳥、メダカやオイカワなどの魚類など、多くの生きものたちがここで生活している。

トンボの池

こうした水と湿原の安定した湿地生態系の藺牟田池を代表する生きものは、トンボである。トンボの産卵と羽化に適した環境のこの池には、オオヤマコガネ、マイコアカネ、ベニトンボ、チョウトンボなど多くのトンボが生息する。
しかし、なんといっても藺牟田池を代表するトンボは、ベッコウトンボである。
日本には約200種のトンボ類が生息するが、湿地生態系の減少や劣化にともなって多くの種がその数を減らしてきた。なかでもベッコウトンボは、絶滅の危機に瀕している日本産トンボの筆頭にあげられ、藺牟田池はその限られた生息地となっている。
地元にはベッコウトンボを保護する会があり、湖畔には普及啓発のための生態系保存資料館が設置され活動している。池の西側にはベッコウトンボの生息環境を維持するためにビオトープが造成され、環境学習の場としても利用されている。

ベッコウトンボ

体長3.7 ~ 4.5cmの小形のトンボ。茶褐色(べっこう色)の羽に黒褐色の斑紋が特徴。トンボのなかでもっとも原始的な種と考えられている。日本産トンボの代表で、繁殖地はごく限られている。

関係自治体

  • 薩摩川内市役所 Tel: 0996-23-5111

藺牟田池の場所

位置:生態系保存資料館・アクアイム(0996-56-0085)
〒895-1502 鹿児島県薩摩川内市祁答院町藺牟田1999−2
北緯43度05分、東経145度05分

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参考:環境省自然環境局野生生物課 ラムサール条約と条約湿地


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