荒尾干潟の詳細
豊かな生きものと人の暮らしを支える有明海の広大な干潟
湿地のタイプ:干潟
所在地:熊本県 荒尾市 ⇒ 荒尾干潟の場所
登録年月日:2012年(平成24)7月3日
面積:754ha
湿地の特徴:干潟、クロツラヘラサギ、ツクシガモ等の渡来地
保護の形態:国指定荒尾干潟鳥獣保護区荒尾干潟特別保護地区
荒尾干潟の概要
有明海の中央部東側には、最大幅3.2km、長さ9.1km、面積約1656ヘクタールと、単一干潟としては国内有数の広さを誇る干潟が広がっている。この広大な干潟の一部である荒尾干潟は、流入する大きな河川がなく、潮流によって土砂や貝殻が運ばれて堆積し、また、低潮線付近では砂が堆積し、州を形成する。
有明海の干潟は、ゴカイ類、貝類、小型の甲殻類や多くの渡り鳥など、多種多様な生きものが暮らす場であり、古くからノリの養殖やアサリ漁が営まれてきた。また、毎年夏期には地元荒尾市主催のマジャク(アナジャコ)釣り大会も開催され、900人を超える参加者が訪れて、干潟の恵みを堪能する。
渡り鳥の有数の飛来地
シギ・チドリ類は、秋から春にかけて荒尾干潟に飛来し、中継地もしくは越冬地としてこの干潟に滞在する。秋季にはシロチドリ、キアシシギ、ダイゼン、トウネン、ソリハシシギ、メダイチドリなど、冬季にはハマシギ、シロチドリなど、そして春季にはオオソリハシシギ、ダイゼン、キアシシギなどが多く見られる。2014年に環境省が実施したモニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査(春期)では、荒尾干潟のある荒尾海岸で4850羽のシギ・チドリ類の飛来が観察され、これは全国3位の羽数だった。
そのほか、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に指定されているクロツラヘラサギや、同じくⅡ類のツクシガモ、ズグロカモメなど、多くの希少な渡り性水鳥にとっても、大切な越冬地となっている。
荒尾干潟の豊かな生きもの
荒尾干潟は、主に砂質の干潟で、歩いても沈みこむことはなく、同じ有明海でも佐賀県側の泥干潟とは性質が異なっている。
河川の運ぶ土砂には有機物が豊富に含まれており、干出と水没が繰り返される中で激しく攪拌され、絶えず巻き上げられて海水と混じる。この豊富な有機物を含んだ海水は海藻や無数のプランクトンを養い、そして砂質を好むゴカイ類、貝類、小型の甲殻類などの底生生物がそれらを捕食し、さらにその底生生物を餌にする水鳥、浅瀬を利用する魚類など多種多様な生きものが生息し、荒尾に暮らす人々から「宝の海」と呼ばれ、古くからアサリ漁やノリの養殖が盛んに営まれてきた。
干潟の保全活動
ノリの養殖やアサリ漁などが現在も盛んであるが、近年、水質の悪化による赤潮などの発生や、資源の減少などで漁獲量が減少しているため、漁業組合が中心となって干潟の耕作や砂を撒くなどの再生事業をおこなっている。こうしたアサリの育成のために干潟を耕す作業が生きものを増やし、また育成するアサリの稚貝は荒尾産に限るなど、干潟と共生する漁業が営まれている。
また、荒尾市の有明海に面した地区の住民は、海岸堤防を活用した「海の美術館」など、環境への関心を深める活動や、日本野鳥の会熊本県支部と連携した定期的な海岸清掃と探鳥会の開催など、有明海の自然を守っていくための活動をおこなっている。また、毎年8月には有明海沿岸4県による有明海一斉海岸清掃も実施されている。
関係自治体
- 荒尾市役所 Tel: 0968-63-1386
関連施設
荒尾干潟の場所
位置:荒尾干潟水鳥・湿地センター(0968-57-7444)
〒864-0027 熊本県荒尾市蔵満20−1 北緯32度58分、 東経130度25分
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参考:環境省自然環境局野生生物課 ラムサール条約と条約湿地
荒尾干潟を訪ねるバードウォッチング・ツアー
ツアーの一覧を別画面で表示します。必ず、コース詳細ページの「旅程」などツアー内容を確認上、ご予約下さい。
バードウォッチング ツアー
初めての方でも楽しめる、野鳥ガイド 久下直哉氏 と行くバードウォッチングのツアーです。
日本のラムサール条約湿地の一覧
日本のラムサール条約湿地の一覧を掲載しています。(2021年11月20日現在)
これらの湿地では、多種・多数の水鳥や野鳥を見ることができます。バードウォッチングをする際は、必ずマナーを守って環境保全にご協力下さい。
エリア | 条約湿地名 ふりがな | 所在地 |
---|---|---|
北海道 | クッチャロ湖 くっちゃろこ | 北海道 浜頓別町 |
北海道 | サロベツ原野 さろべつげんや | 北海道 豊富町・幌延町 |
北海道 | 濤沸湖 とうふつこ | 北海道 網走市・小清水町 |
北海道 | 雨竜沼湿原 うりゅうぬましつげん | 北海道 雨竜町 |
北海道 | 野付半島・ 野付湾 のつけはんとう・のつけわん | 北海道 別海町・標津町 |
北海道 | 阿寒湖 あかんこ | 北海道 釧路市 |
北海道 | 宮島沼 みやじまぬま | 北海道 美唄市 |
北海道 | 風蓮湖・春国岱 ふうれんこ・しゅんくにたい | 北海道 根室市・別海町 |
北海道 | 釧路湿原 くしろしつげん | 北海道 釧路市・釧路町・標茶町・鶴居村 |
北海道 | 霧多布湿原 きりたっぷしつげん | 北海道 浜中町 |
北海道 | 厚岸湖・別寒辺牛湿原 あっけしこ・べかんべうししつげん | 北海道 厚岸町 |
北海道 | ウトナイ湖 うとないこ | 北海道 苫小牧市 |
北海道 | 大沼 おおぬま | 北海道 七飯町 |
東北 | 仏沼 ほとけぬま | 青森県 三沢市 |
東北 | 伊豆沼・内沼 いずぬま・うちぬま | 宮城県 栗原市・登米市 |
東北 | 蕪栗沼・ 周辺水田 かぶくりぬま・しゅうへんすいでん | 宮城県 栗原市・登米市・大崎市 |
東北 | 化女沼 けじょぬま | 宮城県 大崎市 |
東北 | 志津川湾 しづがわわん | 宮城県 南三陸町 |
東北 | 大山上池・下池 おおやまかみいけ・しもいけ | 山形県 鶴岡市 |
関東 | 涸沼 ひぬま | 茨城県 鉾田市・茨城町・大洗町 |
関東 | 尾瀬 おぜ | 福島県 檜枝岐村、群馬県 片品村、新潟県 魚沼市 |
関東 | 奥日光の湿原 おくにっこうのしつげん | 栃木県 日光市 |
関東 | 渡良瀬遊水地 わたらせゆうすいち | 茨城県 古河市、栃木県 栃木市・小山市・野木町、群馬県 板倉町、埼玉県 加須市 |
関東 | 芳ヶ平湿地群 よしがだいらしっちぐん | 群馬県 中之条町・草津町 |
関東 | 谷津干潟 やつひがた | 千葉県 習志野市 |
関東 | 葛西海浜公園 かさいかいひんこうえん | 東京都 江戸川区 |
信越・北陸 | 瓢湖 ひょうこ | 新潟県 阿賀野市 |
信越・北陸 | 佐潟 さかた | 新潟県 新潟市 |
信越・北陸 | 立山弥陀ヶ原・大日平 たてやまみだがはら・だいにちだいら | 富山県 立山町 |
信越・北陸 | 片野鴨池 かたのかもいけ | 石川県 加賀市 |
信越・北陸 | 中池見湿地 なかいけみしっち | 福井県 敦賀市 |
信越・北陸 | 三方五湖 みかたごこ | 福井県 若狭町・美浜町 |
東海 | 東海丘陵湧水湿地群 とうかいきゅうりょうゆうすいしっちぐん | 愛知県 豊田市 |
東海 | 藤前干潟 ふじまえひがた | 愛知県 名古屋市・飛島村 |
近畿 | 琵琶湖 びわこ | 滋賀県 大津市・彦根市・長浜市・近江八幡市・草津市・守山市・野洲市・高島市・米原市・東近江市 |
近畿 | 円山川下流域・周辺水田 まるやまがわかりゅういき・しゅうへんすいでん | 兵庫県 豊岡市 |
近畿 | 串本沿岸海域 くしもとえんがんかいいき | 和歌山県 串本町 |
中国 | 中海 なかうみ | 鳥取県 米子市・境港市、島根県 松江市・安来市 |
中国 | 宍道湖 しんじこ | 島根県 松江市・出雲市 |
中国 | 宮島 みやじま | 広島県 廿日市市 |
中国 | 秋吉台地下水系 あきよしだいちかすいけい | 山口県 美祢市 |
九州 | 東よか干潟 ひがしよかひがた | 佐賀県 佐賀市 |
九州 | 肥前鹿島干潟 ひぜんかしまひがた | 佐賀県 鹿島市 |
九州 | 荒尾干潟 あらおひがた | 熊本県 荒尾市 |
九州 | くじゅう坊ガツル・タデ原湿原 くじゅうぼうがつる・たでわらしつげん | 大分県 竹田市・九重町 |
九州 | 藺牟田池 いむたいけ | 鹿児島県 薩摩川内市 |
九州 | 屋久島永田浜 やくしまながたはま | 鹿児島県 屋久島町 |
沖縄 | 久米島の渓流・湿地 くめじまのけいりゅう・しっち | 沖縄県 久米島町 |
沖縄 | 慶良間諸島海域 けらましょとうかいいき | 沖縄県 渡嘉敷村・座間味村 |
沖縄 | 漫湖 まんこ | 沖縄県 那覇市・豊見城市 |
沖縄 | 与那覇湾 よなはわん | 沖縄県 宮古島市 |
沖縄 | 名蔵アンパル なぐらあんぱる | 沖縄県 石垣市 |