鳥類標識調査員とは

久下直哉氏は、鳥類標識調査員(Bird Bander)です。このバンダーについて解説します。
※ 鳥類標識調査員はバンダー、鳥類標識調査はバンディング と記載します。

バンダーになるのは

バンダーがバンディングをおこなうには許可が必要となります。
鳥類の識別について十分な知識を持ち、鳥を安全に捕獲して放鳥する技術を身につけていることが必須となり、十分な訓練を積んだ後、山階鳥類研究所が実施するバンディング講習会に参加し、バンダーの資格があると認められて許可が与えられます。

久下氏は1996年秋に資格を取得し、1997年からバンディングに携わり、大阪淀川河川敷の十三干潟でオオジュリンの渡りルートの解明に取り組んでいます。

バンディングに関して

バンディングとは、1羽1羽の鳥に区別できる記号や番号がついた標識(足環)を鳥につけて放し、その後の回収(標識のついた鳥を見つけ、その番号を確認すること)によって鳥の移動や寿命について正確な知識を得るという調査のことです。

バンディングの方法

バンディングはカスミ網を使用

バンディングはカスミ網を使用し、網にかかったオオジュリンやその他の野鳥を、安全に網から取り外します。

バンディングの方法

取り外した野鳥の足に環境省リングを装着し、種名の確認、年齢、雌雄識別、体重などを計測して記録し、すぐに放鳥します。

バンディングの方法バンディングは日本各地の山林や河川敷、海岸などで実施されており、十三干潟で放鳥されたオオジュリンが各地で再捕獲される事、もしくは日本各地で放鳥されたオオジュリンが十三干潟に飛来し再捕獲されることで、渡りルートの解明や寿命などが明らかになります。
写真:左からカワセミ用巻きリング、小鳥用からサギ類、猛禽類用に並ぶ。

調査結果の一例

ダイレクトリカバリー 例えば、同一年度内に十三干潟以外から渡ってきたオオジュリンを再捕獲されること
リカバリー 例えば、放鳥年度関係なく十三干潟以外から渡ってきたオオジュリンを再捕獲されること
リターン 例えば、十三干潟で放鳥後、半年以上経過後に同じ場所でオオジュリンを再捕獲されること
  1. 福岡県今津干潟(1999/11/10)から十三干潟(1999/12/1)に:ダイレクトリカバリー(21日間)
  2. 静岡県浮島沼(1999/11/4)から十三干潟(1999/12/3)に:ダイレクトリカバリー(29日間)
  3. 北海道釧路(2013/9/30)から十三干潟(2013/11/23)に:ダイレクトリカバリー(54日間)
  4. 宮城県蕪栗沼(1994/10/18)から十三干潟(1999/11/23)に:リカバリー(5年1ヶ月)
  5. 十三干潟(1997/12/11)で捕獲・放鳥、十三干潟(2002/12/2)で再捕獲:リターン(5年間)

結果考察

  • 1~4の事例により、西は福岡県今津干潟、北は北海道釧路、宮城、静岡など、日本各地からオオジュリンが十三干潟に飛来し、越冬や中継地として利用している。
  • 4や5により、5年以上生きていることが分かる

野鳥ガイドとして

久下氏はバンダーとしての経験や、バンディングのデーターを閲覧できることにより、野鳥ガイドのスキルが非常に高く、ツアーではその知識を皆さんに解りやすく伝えてくれます。久下氏のツアーが好評なポイントはこういうところにもあるのでしょう。

野鳥ガイド 久下直哉 プロフィール

野鳥ガイド 久下直哉 プロフィールガイド歴17年
鳥類標識調査員
日本野鳥の会 大阪支部 幹事
テレビ大阪「やさしいニュース」などメディア出演多数
 
[久下氏からのメッセージ]
五感を通して気軽にバードウォッチングを楽しみましょう!

参考:公益財団法人 山階鳥類研究所(ホームページ)
日本野鳥の会発行 むくどり通信 No.256
監修・写真提供:久下直哉 氏


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